DECAGON
ストラデヴァリのギターにも正十角形は生きる
イタリアでは、弦楽器製作者をLIUTAIO(リュータイオ)と呼ぶ。 今のLIUTAIOは、主にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを作り、LIUTAIO=ヴァイオリンメーカーの観があるが、本来のLIUTAIOの意味は主に撥弦楽器であるリュート属製作者である。
ストラデヴァリは本来のLIUTAIOでギターもよく作っている。
そして、彼は擦弦楽器だけでなくギターにも、私の考える正十角形を生かしている。
では、クレモナのストラデヴァリ博物館に現存するカタログNo.374のギターの図面で正十角形を見てみたい。
カタログNo.374のギターの図面
長さ 496mm
下部最大幅 287mm
上部最大幅 231mm
中央部最小幅 195mm
である。
まず、この図面は内枠の寸法であったと考えて、上下の横板の厚さ4mmを足す。
496+4=500
下部最大幅は、この長さにヴァイオリンと同じく正五角形の一辺の値0.587を掛ける。
全長を1とすると下部最大幅は0.587
500ラ0.587=293.5
この長さから左右の横板の厚さ4mmを引く。
293.5-4=289.5 (図面の値 287 誤差+2.5)
図面の値と比べて左右で、1mm強の違いがあるが、紙の収縮や、製図の誤差と言える。
上部最大幅も、この長さにヴァイオリンと同じく0.475を掛ける。

全長を1とすると上部最大幅は0.475
500ラ0.475=237.5
この長さから左右の横板の厚さ4mmを引く。
237.5-4=233.5 (図面の値 231 誤差+2.5)
中央部最小幅は、下図の赤線の値0.404を掛ける。
(ヴァイオリンの中央部最小幅は正十角形の一辺で0.309であるが、ギターは全長を黄金比矩形の短辺 1とした時の長辺の値
1.618の1/4で取る 1.618 ・4=0.4045)
全長を1とするとギターの中央部最小幅は、赤線の値0.404
赤線の値0.404は半径の1/2と黄金比をなす 0.4045:0.25 => 1.618:1
即ち、紫色の半径と赤線は、半径を短線とする黄金比 0.5:0.809 => 1:1.618
またヴァイオリンの中央部最小幅(緑色)は、逆に半径を長線とする黄金比となっている
半径:ヴァイオリンの中央部最小幅は 0.5:0.309 => 1.618:1
半径を一辺とする二つの黄金比矩形
共に素晴らしい比率が生きている
500ラ0.404=202
この長さから左右の横板の厚さ4mmを引く。
202-4=198 (図面の値 195 誤差+3)
ギターの作図にも、正十角形が確実に生きている。
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